「新しく事務所を借りたけれど、ここで建設業許可の要件を満たせるだろうか」 「自宅兼事務所でも許可の営業所として認められる?」

建設業許可の取得や維持を目指す経営者様から、このような「営業所」に関するご相談をいただく機会が増えています。

建設業許可を受けるためには、ヒト(経営責任者や技術者)やモノ(財産)だけでなく、実際に業務を行う「営業所」が適切な実態を備えているかどうかが厳しく審査されます。もし要件を満たしていない場合、申請が受け付けられなかったり、許可後に思わぬペナルティを受けたりするリスクがあります。

今回は、「行政書士 浅田響樹 事務所」が、建設業許可における営業所の定義や法令上のルール、認められるための7つの具体的な判断要素、そして見落としがちな重大な盲点について分かりやすく解説します。

そもそも建設業法における「営業所」とは?法令上のルール

日常会話で使う「事務所」や「支店」と、建設業法上で定義される「営業所」には大きなズレがあります。まずは法令上の位置づけを正しく整理しておきましょう。

根拠となる法令

建設業法第3条第1項本文では、建設業を営もうとする者は「営業所ごとに」許可を受けなければならないと定めています。そして、何が営業所に該当するかについては、建設業法施行令第1条や、国土交通省が示す「建設業許可事務ガイドライン」によって細かくルールが定められています。

ガイドラインが定める営業所の定義

建設業許可事務ガイドラインでは、営業所について以下のように明記されています。

「本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう」

つまり、単に作業道具を置いておくための資材置場や、職人が集合するだけの休憩所、連絡をとるためだけの連絡所などは、建設業法上の「営業所」には該当しません。

営業所として認められるための「7つの判断要素」

行政の審査において、その場所が建設業の営業所として実態を持っているかどうかは、主に以下の7つの要素から厳しく判断されます。

① 実体的な業務を行っていること

外部からの来客を適切に迎え入れ、建設工事の見積作成や入札、請負契約の締結、積算といった建設業の実体的な業務を継続して行っている拠点である必要があります。

② 必要な什器備品を備えていること

事務を執り行うための固定電話、パソコン、机、椅子、キャビネット(各種事務台帳や契約書を保管するもの)などが適切に配置されているかどうかがチェックされます。

③ 独立性が保たれていること

契約の締結などができるスペースを有し、かつ、居住部分や他の事業者とは間仕切りなどで明確に区分されている必要があります。 特に「自宅兼事務所」や「シェアオフィス」「他社との同居」の場合は注意が必要です。パーテーションや壁で完全に区切られ、他人の生活動線や他社の業務スペースを通らずに、独立して営業所に立ち入れる構造でなければなりません。

④ 事務所としての使用権原を有していること

その場所を自社の事務所として使う正当な権利(使用権原)があることを、建物の登記事項証明書や賃貸借契約書で証明できなければなりません。 もし賃貸借契約書の仕様目的が「住居専用」となっている場合は、貸主から「建設業の営業所として使用することを承諾する」という旨の承諾書を別途もらう必要があります。

⑤ 外部から営業所であることが分かる表示があること

看板や標識(社名プレートなど)が掲げられており、一般の人が外部から見て「ここに建設業の営業所がある」と容易に認識できるよう表示してあることが求められます。個人宅の場合でも、表札の横などに商号を掲げる必要があります。

⑥ 経営業務の管理責任者又は令3条の使用人が常勤していること

営業所には、経営業務の管理責任者(経管)や、令3条に規定する使用人(支店長や営業所長など、建設工事の請負契約締結等の権限を付与された者)が「常勤」していなければなりません。

⑦ 専任技術者が常勤していること

その営業所で扱う業種に応じた資格や実務経験を持つ「専任技術者(専技)」が、営業所に「常勤」している必要があります。⑥の責任者と⑦の技術者は、要件を満たしていれば同一人物が一人二役で兼ねることも可能です。

【重要事例】見落としがちな点:許可のない支店は500万円未満の工事も請け負えない?

ここで、多くの経営者様が勘違いしやすい非常に重大な事例(盲点)をご紹介します。

本社だけで許可を取ったA社(支社有)のケース

ある建設会社A社には「松戸本社」と「東京支社」の2つの拠点があります。 A社は松戸本社を営業所として、千葉県知事から「内装仕上工事業」の建設業許可を取得しました。しかし、東京支社については人員(専任技術者など)の手配が間に合わず、許可の営業所としての登録は見送りました。

この場合、許可を持っていない「東京支社」の営業活動はどうなるでしょうか?

「東京支社は許可がないけれど、500万円未満の軽微な内装工事なら請け負っても大丈夫だろう」と考えてしまいがちですが、これは完全な法律違反(無許可営業)になります。

営業所ごとに許可が必要というルールの罠

建設業許可は「会社全体」に与えられるものであると同時に、「営業所ごと」に業種を指定して受けるものです。 許可業者となった会社は、たとえ500万円未満の軽微な工事であっても、「許可を受けていない営業所(今回の事例では東京支社)」において、その許可業種(内装仕上工事)に関する請負契約を締結することは一切できなくなります。

つまり、本社だけで許可を取った業種については、許可のない支社では500万円以下の工事すら請け負うことができなくなってしまうのです。支店や法人の拠点が複数ある会社様は、どこの拠点を「建設業法上の営業所」として登録するか、慎重に人員配置を計画しなければなりません。

まとめ:営業所要件の確認や準備はプロにお任せください

建設業許可の申請時には、上記7つの実態を証明するために、営業所の外観、看板、室内の固定電話や机、間仕切りの状況などをさまざまな角度から撮影した「写真」を提出する必要があります。行政側の審査基準は非常に細かく、写真一枚の写り方で実態を疑われ、補正(再提出)になってしまうことも珍しくありません。

「お客様に寄り添い、確かな未来へ。」をスローガンに、松戸市を中心とした地域の建設業者様が、物件の契約や人員配置の段階でミスマッチを起こさないよう、事前に現地を確認し、一発で審査を通過するためのアドバイスから申請代行までトータルでサポートいたします。

「この場所で許可が取れるか見てほしい」「自宅兼事務所のレイアウトに不安がある」という経営者様は、まずは一度お気軽に「行政書士 浅田響樹 事務所」までご相談ください。

🏢 建設業許可「営業所ルール」クイズ

【第1問】
自宅兼事務所や、他社とオフィスを同居させて建設業許可の営業所として申請する場合、どのような部屋の構造が必要ですか?

【第2問】
借りている事務所の賃貸借契約書において、使用目的が「住居専用」となっている場合、営業所として認められるために何を用意する必要がありますか?

【第3問:見落としがちな盲点】
本社だけで「内装仕上工事業」の建設業許可を取得している会社が、許可の営業所として登録していない「支店」において、500万円未満の軽微な内装工事の請負契約を締結することは可能でしょうか?

全問終了!お疲れ様でした。

建設業許可の「営業所」認定は、独立性の確保や賃貸借契約の用途確認、そして写真撮影の構図にいたるまで、想像以上に細かく厳しい審査が行われます。
「この場所で許可が下りるか不安」「自宅兼事務所のレイアウトを事前にチェックしてほしい」という経営者様は、当事務所まで、お気軽にご相談ください!