株式会社・合同会社の設立(起業)を目指す方に向けて、会社の憲法と呼ばれる「定款」の基本知識と3つの記載事項(絶対的・相対的・任意的)を千葉県松戸市の行政書士が徹底解説。この記事を読むことで、将来のトラブルや無駄な登記費用を防ぐための事業目的・本店所在地の正しい決め方、行政書士が実践するチェックポイントが分かり、スムーズで理想的な会社設立の手続きを進めることができます。
はじめに:新しい一歩を踏み出す起業家の皆様へ
「念願の独立を果たし、自分の会社を立ち上げたい!」 「個人事業主としてビジネスが軌道に乗ってきたので、そろそろ法人化(法人成り)を検討したい」
しかし、いざ会社を設立しようと手続きを調べ始めると、普段は見聞きしない専門用語や大量の書類手続きに直面することになります。その中でも、会社の設立手続きにおいて最も重要であり、最初に作らなければならない書類が「定款(ていかん)」です。
「定款という言葉は聞いたことがあるけれど、具体的に何を書けばいいのか分からない」 「ネットで見つけた雛形(テンプレート)をそのまま使って作っても大丈夫なのだろうか」
このような疑問や不安を抱くのは、決して珍しいことではありません。定款は、よく「会社の憲法」や「会社の最高規則」と例えられるほど、会社にとって極めて重要な書類です。一度作成して公証役場で認証を受けたり、法務局に登記したりした後は、簡単に内容を変更することができず、変更する場合には余計な費用や手間(登録免許税など)がかかってしまいます。
テンプレートをそのまま流用した結果、数年後に「やりたいビジネスが追加できない」「役員の任期でもめてしまった」といったトラブルに発展するケースは、実務上決して少なくありません。
そこで今回は、松戸市で多くの起業家様や経営者様の法人設立・許認可申請をサポートしている「行政書士 浅田響樹 事務所」が、定款作成の基本から、将来の失敗を防ぐための具体的なチェックポイント、そして行政書士がお手伝いできることまでを分かりやすく徹底的に解説します。皆様のビジネスが最高のスタートを切れるよう、ぜひ最後までお読みください。
そもそも「定款(ていかん)」とは?なぜ会社の憲法と呼ばれるのか
定款とは、一言で表現すると「会社の組織や運営に関する根本的なルールを定めた書面(または電磁的記録)」です。
日本国内で会社(株式会社や合同会社など)を設立する際には、発起人(出資者)が必ず定款を作成しなければならないと法律(会社法)で定められています。定款がなければ、会社を設立するための登記手続きを進めることができません。
定款に定められるルールは、会社で働く社員や役員だけでなく、株主、さらには会社と取引を行う第三者に対しても一定の効力を持ちます。そのため、会社を運営していく上での「絶対的な基準」となるのです。
株式会社の定款を作成する一連の流れ
株式会社を設立する場合、定款は作って終わりではありません。以下のようなステップを踏む必要があります。
- 発起人が集まり、会社の基本事項(商号、目的、本店所在地など)を話し合って決定する
- 話し合って決めた内容を法律の形式に則って文章(定款)にまとめる
- 発起人全員が定款に署名または記名押印(電子定款の場合は電子署名)する
- 本店所在地を管轄する公証役場へ行き、公証人から「定款認証」を受ける
- 認証された定款を添えて、法務局に設立登記の申請を行う
なお、合同会社を設立する場合には、公証役場での「定款認証」の手続きは不要ですが、定款自体の作成は法律上必須となっています。
このように、定款は国(公証役場や法務局)によって公式に認められる書類であり、会社の存在証明そのものの基礎となる極めて厳格な書類なのです。
定款の命運を分ける「3つの記載事項」
定款の中身は、どのような内容でも自由に書いて良いわけではありません。記載する項目は、その重要度や法律上の性質によって、大きく以下の3つの種類に分類されます。これらを正しく理解して組み合わせることが、質の高い定款を作るための第一歩です。
1. 絶対的記載事項
定款に「絶対に記載しなければならない項目」です。もしこの項目が1つでも抜けていたり、内容に不備があったりした場合、その定款は法律上「無効」となってしまい、会社を設立することができません。
株式会社の定款における絶対的記載事項は、以下の5つです。
- 目的(会社がどのような事業を行うか)
- 商号(会社の名前)
- 本店の所在地(会社をどこに置くか)
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(資本金の額など)
- 発起人の氏名または名称および住所(会社を立ち上げる人の情報)
- 発行可能株式総数(株式をどのくらい発行できるか)
どれも会社のアイデンティティに関わる最重要項目です。具体的な決め方のコツは後ほど詳しく解説します。
2. 相対的記載事項
定款に「必ず書かなければならないわけではないが、そのルールを有効にしたいのであれば、必ず定款に明記しなければならない項目」です。
法律の原則とは異なる特別なルールを会社に持たせたい場合、この相対的記載事項として定款に記載しておく必要があります。口頭の約束や、定款以外の社内規程に書くだけでは、法律上の効力が認められません。
具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 現物出資に関する規定(お金ではなく、車やパソコンなどの財産を出資する場合のルール)
- 取締役・監査役等の任期の伸長(非公開会社の場合、最大10年に伸長可能)
- 株主総会や取締役会の召集通知の期間短縮(原則は1週間前までだが、短縮可能)
- 株式の譲渡制限に関する規定(勝手に株を売られないようにするルール)等
特に中小企業や家族経営の会社を設立する場合、「株式の譲渡制限」を定款に盛り込んでおくことで、会社の経営を守ることができます。
3. 任意的記載事項
定款に「書くか書かないかは完全に自由で、定款以外の社内規程(就業規則や取締役会規程など)に定めても効力がある項目」です。
あえて定款に記載しておくことで、会社の意思やルールをより強固にし、簡単には変更できないようにする目的で記載されます。
具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 事業年度(決算期)の定め
- 役員の人数(取締役の員数など)の制限
- 株主総会に関する定め
- 公告の方法 等
「事業年度」は任意的記載事項に分類されますが、税務申告や決算のスケジュールを確定させるために、実務上は日本のほぼすべての会社の定款に記載されています。
失敗しないための定款作成「5つの重要チェックポイント」
定款の作成をインターネット上のテンプレートの丸写しで済ませてしまうと、後から「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。ここでは、将来のトラブルや無駄な出費を防ぐために、起業時に必ず確認しておくべき5つの重要なチェックポイントを解説します。
チェック①:事業の「目的」は将来性を見据えて適正に記載されているか
定款の絶対的記載事項である「目的」には、会社が営むビジネスの内容を書きます。会社は、原則としてこの定款に書かれた目的の範囲内でしか活動することができません。
目的を決めるときは、以下の3つの視点が重要です。
- 明確性と具体性:誰が見ても「何のビジネスをしている会社か」が分かる必要があります。あまりに抽象的な表現だと、公証役場や法務局の審査で修正を求められることがあります。
- 将来行う予定の事業も入れておく:会社設立当初は「飲食店の経営」しか行わないとしても、3年後に「食材のインターネット通販」や「経営コンサルティング」を始める予定があるなら、あらかじめ定款の目的に入れておきましょう。後から目的を追加する場合、定款変更の手続きと登記費用(登録免許税3万円)がその都度かかってしまいます。
- 許認可との整合性:これが最も見落としがちなポイントです。建設業許可、古物商許可、宅建業免許、飲食業許可など、行政機関の「許認可」が必要なビジネスを行う場合、定款の目的に特定の文言が入っていないと、許認可の申請自体を受け付けてもらえないことがあります。
チェック②:本店の所在地は「最小行政区画」までにすることも可能
本店の所在地は、定款には「千葉県松戸市」のように「最小行政区画(市町村、東京23区は区)」までを記載することも可能です。
定款に「千葉県松戸市〇〇一丁目2番3号」と番地まで細かく書いてしまうと、同じ松戸市内(例えば隣の町内)にオフィスを移転しただけでも、定款を書き直さなければならなくなります。
「千葉県松戸市」までしか書いていなければ、市内の移転であれば定款そのものを変更する必要はなく、法務局への移転登記の手続きだけで済むため、手間も費用も減らすことができます。
チェック③:役員の「任期」は会社の状況に合わせて伸長されているか
株式会社の場合、取締役の任期は法律上、原則として「2年」(監査役は4年)とされています。しかし、非公開会社(すべての株式に譲渡制限が付いている会社)であれば、定款に定めることで、役員の任期を最長「10年」まで伸ばすことが可能です。
親族だけで経営する会社や、社長1人だけの会社の場合、2年ごとに役員再任の手続き(登記費用として1万円〜3万円程度)を行うのはコストも手間もかかります。そのため、任期を10年に設定しておくことで、余計な事務負担を大幅に減らすことができます。
ただし、将来的に外部のビジネスパートナーを役員として迎え入れる予定がある場合は、任期を長くしすぎると途中で辞めてもらいたい場合に、「解任」という形で登記上記載が残るので、例えば、融資を受ける際などに心証がよくないといったことも考えられます。また、任期途中の解任には正当な理由がないと損害賠償を請求されるリスクが生じるため、慎重に決める必要があります。
チェック④:資本金の額と「1株の価額」は適切か
資本金をいくらにするか、指定口座にいくら払い込むか、そしてそれを何株に分けるか(1株あたりの金額をいくらにするか)も定款に影響します。
現在は法律上、資本金1円からでも会社を作ることができますが、実際の融資の受けやすさや、取引先からの信用、そして建設業許可などの資金要件(一般建設業許可では500万円以上の資金調達能力が必要)を考慮して決める必要があります。
また、1株の価額(例えば1株1万円、1株5万円など)をいくらにするかによって、将来新しく出資を受け入れたり、社員に株を分けたりする際の手続きのしやすさが変わってきます。経営権(過半数や3分の2以上の議決権)を確実に維持できるような株式の配分計画を意識して定款の枠組みを作りましょう。
チェック⑤:「公告方法」の選択で無駄なコストを削減できているか
会社は、決算の内容や会社の重大な決定を広く一般に知らせる(公告する)義務があります。定款では、その公告をどの方法で行うかを定めます。
選択肢は主に以下の3つです。
- 官報に掲載する方法:最も一般的ですが、毎年決算公告を載せるたびに約3万円〜7万円の掲載費用がかかります。
- 日刊新聞紙に掲載する方法:掲載費用が数十万円と非常に高額なため、大企業向きです。
- 電子公告による方法:会社のホームページ上に決算書を公開する方法です。
電子公告は、ホームページに掲載するだけですが、決算公告では「貸借対照表の全文」を5年間公開し続ける必要があります。また、合併・減資などの手続きで電子公告を利用する場合、決算公告とは異なり電子公告調査機関による調査が必要となり、別途費用が6~15万円ほど(調査会社・内容により異なる)かかります。
手続き面では、官報公告による方法が比較的簡単で、多くの会社が官報での公告をしています。
費用を一番安く抑えたいということであれば、官報公告+電子公告(決算公告のみ)という合わせ技をすることも可能です。ただし、決算の内容につき貸借対照表の要旨ではなく、貸借対照表の全文を掲載する必要がありますので、それを良しとしないのであれば公告方法は官報公告(のみ)ということになります。
自分で作る場合の注意点と「電子定款」によるコストメリット
今の時代、インターネットで検索すれば定款のテンプレートは簡単に見つかりますし、法務局のホームページにも記載例が載っています。そのため、「書類作成が得意だから、定款くらい自分で作ってみよう」と挑戦することも可能です。
しかし、ご自身で定款を作成し、公証役場で認証を受ける場合には、法律の知識以外にも「実費(コスト)」の面で大きな落とし穴があります。
紙の定款と電子定款のコスト比較
定款を従来の「紙の書類」として作成して公証役場に持参する場合、印紙税法に基づき、4万円の収入印紙を定款に貼らなければなりません。
一方で、定款をPDFデータとして作成し、電子署名を付与して申請する「電子定款」という方法を利用すると、印紙代の4万円が非課税(0円)になります。
| 費用項目 | 紙の定款で申請する場合 | 電子定款で申請する場合 |
|---|---|---|
| 公証役場の手数料 | 約3万円〜5万円(資本金による) | 約3万円〜5万円(資本金による) |
| 定款の謄本代 | 約2,000円 | 約2,000円 |
| 収入印紙代 | 40,000円 | 0円 |
| 合計実費 | 約72,000円〜92,000円 | 約32,000円〜52,000円 |
「それなら自分も電子定款でやろう!」と思われるかもしれませんが、個人で電子定款を申請するためには、専用のマイナンバーカードリーダー、有料のPDF編集ソフト(Adobe Acrobatなど)、公的な電子証明書プラグインなど、数万円規模の機材やソフトを初期投資として揃える必要があります。
結局、一生に数回しか使わない機材やシステムを買い揃え、慣れない設定に何日も時間を費やすのであれば、最初から電子定款に対応している専門家に依頼した方が、トータルのコストも時間も圧倒的に節約できるケースがほとんどです。
また、日本公証人連合会では、定款作成支援ツールを用意してあります。シンプルな内容でスピーディーに定款認証を行いたい方向けのツールとなっていて、とにかく急いで設立したいという方には便利かと思います。ただし、作成できる定款は最低限の記載になりますので、会社ごとのニーズに合った定款の作成は難しくなります。
費用対効果の面でも専門家による定款の作成をおすすめします。
まとめ:会社設立・定款作成は当事務所へお任せください
会社の設立は、起業家の皆様にとって素晴らしい未来への第一歩です。しかし、その土台となる「定款」に不備や見落としがあると、将来のビジネスの足かせになってしまうことがあります。
特に、将来的に「建設業許可を取りたい」「古物商のビジネスを始めたい」「外国人を雇用するためにビザの申請をしたい」といった計画がある場合、定款の目的や内容に先を見据えた工夫を施しておくことが、その後のスムーズな許認可取得に直結します。
「自分のやりたいビジネスに合った、最適な定款を作ってほしい」 「電子定款を利用して、設立費用を賢く抑えたい」 「会社設立だけでなく、その後の許可申請まで一括して相談に乗ってほしい」
そんなときは、ぜひ「行政書士 浅田響樹 事務所」にご相談ください。
当事務所は、法律の要件をただ満たすだけでなく、審査がスムーズに通り、かつお客様の将来の経営に有利となるような、オーダーメイドの定款作成を心がけております。
「想いを形に、確かな未来へ」
このスローガンのもと、私たちは単なる書類作成の代行にとどまらず、新しく挑戦を始める経営者様の最も身近な相談相手として、これからの事業の発展を末永くサポートいたします。
初回のご相談では、お客様が思い描いているビジネスプランを丁寧にヒアリングし、どのような定款の構成がベストかをご提案いたします。会社設立という大きな決断を、確かな安心とともに進めるために、まずは一度、当事務所までお気軽にお問い合わせください。皆様からのご連絡を、心よりお待ちしております。